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vol.20：清野菜名
影踏み。 ―影、濃いね 「影？わたしの？」 ―いつもより、影が濃いなー、って 「陽射しが強いからでしょ？」 ―ん…まぁ、そうなんだけど 「意味わかんない」 陽炎を弾いて、ふふと笑うキミ。 「っていうか、影じゃなくてね…」 ―…ん？ 「見るところ、違くない？？」 ―見るとこ… 「いつもより、、、とか。 女のコに〝いつもより〟って言う時はさぁ」 ―…？？ 「髪型とかメイクとか、服とか…...
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vol.21：KIRI
ひと月…まだ慣れないんだ。 夏休みが明けて、ひと月…まだ慣れない。 “転校”なんていう チープな言葉で片づけちゃうのは簡単だけど。 教室で、通学路で、 いつも話していたキミがいなくなる。 ボクが話を聞いてばかりだったけどさ。 キミの話は終わりがなくて、 終わった！と思った瞬間 「…でね、でねっ」がはじまる。 今でもクラスの誰かと話すたび、 ついつい「でね、でねっ」 の言葉を待ってしまう、ボク。...
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vol.22：安藤ニコ
今さら不意の壁ドンなんて、 電車のドアの窓に触れた右手に伝わる冷気。 伸ばしたボクの右腕は、 ラッシュの圧に押されて…ぷるぷる震えている。 顎をひくと、 眼下にはスクールバックを抱えたキミがいて… 目を伏せたまま俯き続けている。 たまたま、だ。偶然だ。 いつもは、こんな距離じゃない。 車両故障だかなんだか知らないけど… 乗車率120%の電車って。 こんなに緊張するのなら、乗り遅れれば良かった。...
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vol.23：新井ひとみ
…どうしたの？やっぱり風邪？？ 春風を割って近づくボクを目にとめて、彼女… 「…あれ？マスク。風邪？？」 ―これ？デビューしちゃった。 「花粉症？」 ―そう…（クシュッ！） 「キミ、いつも笑ってるから、 口元が見えないのって、ヘンな感じ」 ―そう？ 「うん。でも、なんかいいかも」 瞳に笑みを湛えて、ボクを覗き込む。 ―どうして？ 「むかつく相手の前で、 べぇー！って、舌を出してもバレないし」...
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vol.24：松岡茉優
でもね、キミとゆくなら、、、 「ね、美術館と水族館、どっちが好き？」 ―え？なに、いきなり笑。 反射的にこたえる。 ―美術館、かな…で、なんなのコレ？ 「美術館を好きな人って、片想い体質なんだって」 ―ん？よくわからない。 「水族館はさ、生きモノと向き合うでしょ。 だから…生命？気持ちを、いっぱい受け取る。 逆に、美術館は… 気持ちを、ひたすら投げ込むからね。作品に」 ―ふうん。...
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vol.25：古畑星夏
雨が降ったら、かな ―こんどの土曜日、みんなで渋谷に行かない？ 「晴れたら、ね」 ―フェスとか興味ない？ ヒロシが“車、出すよ”って。 「んー、でも暑いよね。涼しければなぁ…」 誘いの言葉を彼女へ投げると決まって、 天気模様のレスが来る。 ―あさって、ふたりで海へゆかない？ 「そうだなぁ、、、雨が降ったら、かな」 ―えっ？あのさ…海だし。。。 「もう。キミ、勘が悪いなー」...
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vol.26：山谷花純
でも恋ってさ、 …趣味？人間観察だよー、なんて、 いつもみたいにふざけていたら。。。 「ふーん。じゃぁ…わたしのクセって何？」 ―クセ？…考えごとをする時、 くちびるの下に人差し指をあてちゃう。 「あー、たしかに。 この世でいちばん、嫌いなものは？」 ―それ…人間観察？ まぁ、いいや。おばけでしょ。 「あはは。そうだね。 じゃぁ、お気に入りの場所とか…？」 ―猫カフェ。...
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vol.27：玉井詩織（2011）
ティーンの頃の、 彼女の姿を想像し始めたら… きっと、恋だ。 photo・nishida shuhei text・suzuki sachihiro stylist・matsumoto eri たまい・しおり 6月4日生まれ http://ameblo.jp/tamai-sd/ ※2011年6月撮影 ももいろクリスマス2016 〜真冬のサンサンサマータイム〜...
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vol.28：前島亜美
この微笑みが色褪せ消えてしまったら 通学途中にある薬局の硝子に貼られているポスター。 そこには、小箱を片手に微笑む女のコが。 笑う目元が、どことなくキミに似ている… 高校2年の夏休みを前に この街を離れたキミ。もうすぐ1年が、経つ。 日を重ねるごとに、陽に焼け色褪せていくポスター。 毎朝、薬局の前を通るたびにキミを想い出した。 トリガー…ってやつ？ 不精なのか...
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vol.29：飯豊まりえ
休日の、彼女を知りたい― 休日の、彼女を知りたい― 思いもよらない表情で、部屋でくつろぐ姿。 そこにはきっと、ボクが見たことのない人がいる。 彼女にとってボクは友達… ふだん何気ない会話をするだけだ。 時おり挿む小ボケに、笑ってくれたりもする。 でも、それだってきっと、究極の愛想笑い。 休日の、彼女と話したい― 中身なんか、なんだっていい。 そこにはきっと、ボクが聞いたことのない声がある。...
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